2008年7月 7日

研究会昇格申請

研究会設立のための趣旨案を用意させて頂きました。まずは、これについて、皆様から忌憚のないご意見を頂きたいと思います。メーリングリストでも、桜井個人宛メールでも、あるいは電話などでも結構です。なんでもおっしゃってください。

一定の改良の後、特にご異議のある方を別として、できるだけ新領域グループ全メンバー(このメールを受け取っておられる方、62名)に、研究会の設立時メンバーになっていただきたいと願っております。また、現メンバーでなくても、以前のワークショップなどに参加された方もお誘いし、できるだけ約80名、もしくはそれ以上の方のご賛同のもとで提案を出せるようにしたいと考えています。この了解を頂くところは、多少時間をかけ、ゆっくり行いますので、賛否やご要望等、ぜひご意見をおっしゃってください。

よろしくご検討ください。

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研究会設立趣旨(案)

ナノサイエンス・ナノテクノロジーの研究開発においては、何がしかの物質によって覆われた「埋もれた」ナノ構造を扱う必要がある。また人工的に形成された積層構造の各層や各界面は、常に上層に「埋もれた」状態にある。通常の顕微鏡的な方法による直接観察ができないため、試料を破壊せずに解析・評価することのできる手段として、X線および中性子による解析技術を活用することが有力である。特に反射率法は、深さ方向の内部構造、具体的には各層の膜厚、密度、また各界面のラフネスを非破壊的に求めることができ、また半導体・電子材料からソフトマテリアルまで、広範な材料に適用できる点で優れている。
最近では、高輝度シンクロトロン放射光源等の先端研究施設を用い、微小領域分析、quick 計測等にも道が開かれつつあり、加えて埋もれた界面に敏感な回折・散乱および分光等の関連技術を総動員し、ナノサイエンス・テクノロジーの種々の未解決問題への取り組みが本格化しつつある。また、限られた範囲で実現しつつある超短パルスX線源や高コヒレーンスのX線源の利用にも大いに関心が集まっている。さらに2008年に中性子発生に成功した 大強度パルス中性子源J-PARCを活用し、またX線・放射光との相補利用により、これまでは困難とされてきた一層高度な解析をめざそうという機運が高まっている。

X線・中性子の高度利用と埋もれた界面の新解析技術の開発が急速に進みつつある状況から見て、今後、諸外国においても、それらを発展させ、また駆使することにより、実際のナノサイエンス・ナノテクノロジーの課題の解決に活用する研究活動は相当に活発になると予想される。そこで、半導体・電子材料からソフトマテリアル、バイオシステムまで、種々の物質系における埋もれた界面を高度なX線・中性子解析により解明する研究分野の開拓を主な目的として研究会の設立を提案する。
本研究会は、2005年11月に発足した新領域グループの活動の成果を継承するものであるが、これまで以上に門戸を広く開き、広範な物質系の埋もれた界面の未解決問題に関心を持つ人々の参加を募りたい。理論研究者や必ずしもX線・中性子を専門としない実験系研究者も迎え入れ、この研究会がなければあり得ないであろうインタラクションを目的意識的に組織し、新研究分野の開拓に取り組む。